2003年5月7日 NO.63
有事法制審議本格化



 衆議院 武力攻撃事態特別委員会は、5月6日、継続審議中の有事法制関連3法案に関連して、民主党が対案の趣旨説明を行い、修正協議が本格化。今後は、民主党の提出した「緊急事態基本法案」の趣旨を、政府・与党がどこまで修正協議に組み込むかが大きな焦点になる。


これまでの経緯

 政府・与党は昨年4月16日、有事関連三法案といわれる「武力攻撃事態法」 「自衛隊法改正案」 「安全保障会議設置法改正案」の三法案を決定し、翌17日、国会に提出した。その概要は、武力攻撃事態の定義を、「武力攻撃(おそれがある場合を含む)が発生、事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態」と規定し、国、地方公共団体、指定公共機関の責務を定め、首相が地方公共団体などに指示したり、従わなければ代執行できる権限などが盛り込まれたものであった。この法案は、過去2度の継続審議となり、その間、野党のみならず専門家かからも多くの欠点が指摘された。
 そこで、本国会において与党修正案が提出された。主な修正点は、有事の定義を見直し、(1)これまで「武力攻撃事態」としていたのを「武力攻撃事態」と「武力攻撃予測事態」の2段階に分けた (2)武装不審船や大規模テロ対策も必要な施策を速やかに講じることを明記した (3)国民保護法制(有事の際の住民の避難・誘導や被害者の救助等の手続きを定める法律)について、内閣に国民保護法制整備本部を設け、同法制の整備促進を図ることなどを盛り込んだ、等である。それを受け、民主党も党内論議を経て4月30日に法案を提出した。以下にその概要を報告する。



民主党の有事法制

緊急事態への対処及びその未然の防止に関する基本法案
 
この法案は政府・与党案では提出されていない基本法案である。

○立法の趣旨−緊急事態における基本法
緊急事態における国の責務や、対処のための指針・理念を規定する
国家権力の濫用・暴走を防ぐため、侵してはならない基本的人権、民主的統制の原則を明らかにする
危機管理の権限を集中し、十分な人員と予算を確保した新たな組織=危機管理庁の設置を明記する

○内容
〔基本的人権の保障〕
緊急事態においても、憲法で定める国民の自由・権利は保障されなければならず、制約される場合であっても、必要最低限の事項を確保。
〔国会による民主的統制のあり方〕
緊急事態における国の安全確保・公共秩序維持のための重要施策は、民主的統制を確保するため、国会による関与を保障。原則として事前の国会承認が必要。(できない場合は事後)
〔緊急事態における国民の保護〕
緊急事態において、国・地方公共団体が行う国民保護のための措置を規定
〔危機管理庁の設置〕
緊急事態おける国民保護に関する中枢機能を担う新たな組織を、内閣におく旨を規定
〔テロ・不審船等をはじめとする多様な事態への対応〕
テロ・不審船の事態等への対応のため、警察機能の充実、出入国管理体制の強化、自衛隊の補完機能等に言及。

政府・与党案との比較
 大きな相違点は「国会の関与」と「国民の権利保護」である。
 「国会関与」について政府案では政府の対処基本方針を事後承認としたが、民主党案では原則事前承認とし、できない場合は事後とした。
 また、「国民の権利保護」は政府案は具体的に規定がないが民主党案では「思想・良心の自由」等の6項目を明記した。また、その主機関に「危機管理庁」を設けることとしたところが特筆される。




国の根幹となる有事法制

 有事法制は戦争をするための法律ではない。まさかの時、あってはならないことが起きたときの危機管理法の一つである。
 国民の生命・領土・財産を守るのが、国が行わなければいけない第一の使命であり最大の責務である。この重要法案中の最大の重要法案。自分達の意見が100%通らないから野党は反対、野党が反対するから与党は強行採決ということだけはしたくない。国の根幹に関わること。国会の総意にできるだけ近いかたちで一定のルールを設けることは国会の使命であり、国会議員の責務である。
 今回の法案がまさに、国民本位の法律となるよう、与党と徹底的に議論していきたい。




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