新年明けましておめでとうございます。
ここ数年ずっと、「今の日本はとてもひどい状態にある」といわれてきました。株価は低迷、失業率も過去最悪、先の見えない不況。そして政治の混迷。社会は幸せな気分に満ちているとは言い難く、いたるところで不安や不満が表出し、さまざまな事件がそんな世相を反映しています。
しかしながら、少し距離をおいて外から自分を見つめ直してみるとどうだろうか。仕事柄、海外の方々と接する中、昨年末ぐらいから次のように考えるようになってきました。「いわれているほど、日本は力を落としているわけではない。ポテンシャルはいまだ十分あるのに、リズムを崩しているだけだ」
人間の成長になぞらえて今の日本を考えてみると、かつて10代、20代のときのような、元気いっぱい、あらゆるものを貪欲に吸収し成長していく時期を過ぎて、いよいよ思慮分別の豊かな成熟した大人の時代を迎えつつあると思います。いつまでも若いと思っていても、人はそれぞれの年代での仕込みがあるわけで、いま、10代、20代と同じことを考えていてもうまくいくはずもありません。つまり、いまは衰弱ではなく成熟の過程にある、そう考えるべきなのです。
大人の国になりつつある日本。いや、ならなければならない日本。海外との比較でいけば、見習うべき気風はまだまだ多くあります。
例えば隣の国、韓国なら、家族を大切にするところ。中国のハングリー精神。米国なら、義務と権利というところからして「国」を意識しつつ、人生を楽しもうという気風。欧州なら、歴史・伝統への敬意、地球市民としての自覚・・・。いろんな国と比べていく中で、よいところは積極的に影響されつつ、また日本のオリジナルな長所を情報発信しつつ、成熟した大人の国として世界に確たる存在感を示す。そうなっていきたいものです。
スポーツでは、流した汗の分だけが、その人の自信の裏付けになります。日本は、わたしたちの親の世代、さらにその上の世代の皆さんがこれまでがんばってきた多くの蓄積があります。そして、こんな苦しい今の時代でも、がんばっている私たちがいます。だから、過信はいけないけれども、汗の分だけの適度な自信は持ってもいいはずです。
小柴さん、田中さんのノーベル賞同時受賞や、サッカー・ワールドカップでの日本代表の活躍、それらに象徴される明日への息吹はいまも感じられます。
私自身も42歳。若さを理由にできる時代から、いよいよ実力を問われる年になってまいりました。気持ちも新たにがんばってまいります。
最後に、この2003年が皆様方にとって素晴らしい年となりますよう心から祈念いたします。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
2003年 元旦