2001年5月30日 NO.26
真紀子にマキコまれず
 伴野豊、北京へ行く。
 いまもむかしも、中国は政治家の必修科目



 5月23日、いろんな意味で物議を醸している田中真紀子外相。初の外遊は北京でのアジア欧州会議(ASEM)への出席であった。一方、李登輝訪日、教科書検定、セーフガード発動など、いま、何かと日中関係が話題になっている。
 
そうした中、伴野豊は、5月18日から4日間、単身訪中、国家、民間とも、中国共産党や、実際の国民レヴェルで、日本についてどう思われているのかを現地で確かめるべく、北京の地に立った。とりわけ政府、共産党、民間の同世代、次代の指導者と目される若手、程永華氏や劉洪才氏、李軍氏、馬俊威氏と連日精力的に会談した。
 偵察機事故と米中関係、対台湾の問題などもあり、少々緊張感のある中で、伴野としては「現場主義」そのまま、生の声を聞き、また北京の市中を歩いて、そこで肌で感じられる現実を、しっかりと捉えた。





国務院外交部副司長・程永華氏との会談

[日本の母なる国、中国]
 今回の訪中は、伴野にとって初の訪中であった。
 日本の歴史・文化の源流が 中国に求められることもあって、多くの日本人は中国を母なる国と感じている。そうして古来からの豊かな関係がある一方で、私たちの祖父母の時代において不幸な歴史事実があった。1972年の日中国交回復時、中国の方々はじめ近隣諸国に多大な迷惑をかけた、という発言にもあるように、この認識の上に立って、私たちの父母の時代には、敗戦の後、事実を直視することなく、あえて避けて、後世に伝えることにも消極的であった。自虐的な意識の中、歴史認識より経済の発展に意識的に集中して、歴史から目を背けてきたきらいがある。そういう過去の中で、私たちの世代は、次の世代のためにも、歴史は歴史として認識し、主権国家として、自立し、健全なる愛国心を育んでいく必要がある。とりわけ、母なる国と思う中国との関係が、過去にとらわれるあまり未来を志向しないのは不幸である。言い分はお互いあっても、次の世代には少しでもいい関係を繋ぎたい。
 国対国の正式なルートではタテマエの外交になりがちなので、今回は特別な目的をもたず、信頼の構築の第一歩として、40歳にして初の訪中を果たした。そして、その認識は最初に表敬訪問した国務院外交部における、程永華・副司長との会談で確認された。





中国共産党中央対外連絡部副秘書長兼アジア二局長・劉洪才氏との会談

 [歴史認識とその課題]
 中国共産党中央対外連絡部・副秘書長 兼 アジア二局長の劉洪才氏との会談でも、主な話題は愛国心と歴史認識であった。伴野からは、健全な愛国心について意見を述べる一方、中国共産党の劉洪才氏より、中国の一般の認識として、大日本帝国の東條英機を、世界中の人々がナチスドイツのアドルフ・ヒトラーを思うように、同等の独裁者として捉えている、ということを聞いた。
 歴史認識についてもそうであるが、なにより相互の信頼関係の醸成が大切であり、その上で相手の意見も十分に聞き、課題を克服していく、たとえば、環境問題のように中日で協力できることはたくさんある、との認識で一致した。





中国共産党中央対外連絡部・李軍氏との会談

[ 台湾問題 ]
 続いて中国共産党中央対外連絡部・李軍氏との会談。ここで主な話題となったのが台湾問題である。米中紛争は日本にとって最悪の事態である。想定されるのは、?中国による台湾の武力吸収、?アメリカの誘導から台湾が武力による独立に動いたとき、以上の2つが考えられる。
 李氏によれば、?は中国国内事情からしても、そんな余裕はない、とのこと。しかし、?の可能性は否定しきれないので、日本にも力を貸してほしいとのことであった。我が国は、日米安保条約もあって、またアメリカ軍への後方支援の仕組みがある。中国と事を構える、というのは、日本のみならず全ての国にとって不幸な選択である。
 一方、日本の政治の在り様についても話題となった。台湾有事とは別に、アメリカへの追従外交、或いは「金は出すが血は流さない」のスタンスについて、いかがなものかと思う。主権国家・日本の真の自立、それに健全な愛国心の育成のため、自らの力で自国を守り、自分の国としての意志を持つ国になるべきであるし、対中、対米とも、対等で自立した付き合いのできるように、国のシステムを考え直す時がきている。それについては、李氏の側からも、真の友人ならばYES/NOをはっきり示すことの重要性を示し、共通の認識とした。





現代国際関係研究所副主任・馬俊威氏との会談

[ 小泉内閣の評価 ]

 ここでは、小泉内閣の性格が主な話題となり、日本の政局についての情報交換を行った。
 小泉首相に対して民主党は、その改革のスピードを競うというスタンスで、諸々の政策に対して是々非々で臨む、ということを示した。
 一方、現代国際関係研究所・副主任の馬俊威氏からは、小泉首相は最初、改革のイメージで中国国民に好印象を与えたものの、靖国神社の公式参拝発言で一気にイメージを悪化させた、ということ、或いは、台湾有事の危険性についてのより厳しい見方などを披瀝された。
 また、中国残留孤児のことを話題にしつつ、二国間の寛大で親密な関係構築の必要を説き、ともにその認識を確認した。





訪中を終えて

 [ お世話になった譚さんの一言 ]
 初めての訪中であったが、改めて思ったのは、国レベルも個人レベルも、とにかくコミュニケーションがもっともっと必要とされている、ということであった。
 これを機に、交流を深めていくことを確認しあった。
 母なる国・中国について、過去、不幸な歴史があって、結果として中国の一般のレベルで4割が「日本嫌い」という、後世に対しても、とてもよくない状況にある。それを改善していくためにも、コミュニケーションを深めていくことが大切。いまは感情や認識に違いがあっても、対話・交流の活発化から発展的に解消させていかなくては、私たちの次の世代にまで、不幸を重ねることになる。
 肌で知り得る現地のひとの感覚、ということでいうなら、「東條英機とヒットラーは同じ」とは、今回の現地で大変お世話になった譚さんの一言であった。それが、日本にいて直接はわからない、現地の生の声の一つとして、心に残った。



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