2001年4月1日 NO.21
米国ブッシュJr.政権の今を鑑み、
日本の明日を考える。

ワシントン・ハドソン研究所の
元主席客員研究員、日高義樹氏に学ぶ


 3月26日朝、日高義樹氏のお話を伺った。日高氏はNHK出身。アメリカ・ブッシュ政権の外交・安保政策に非常に大きな影響力を持つハドソン研究所において、最も信頼の厚い日本人である。




より伝統を大切にするアメリカと、アメリカからまともな交渉相手とは見なされない日本

 国会議員超党派で形成する勉強会 「日米欧総合安全保障議員協議会」 において、日高義樹氏より、アメリカ・ブッシュ政権の政策志向についてお話を伺った。
 日高氏は昭和10年生、名古屋市出身。NHKニューヨーク支局長、ワシントン支局長、アメリカ総局長を歴任。またハーバード大でも教鞭を取った経歴の持ち主。また、ワシントンのハドソン研究所において、アジア・太平洋地域の情勢、日米関係の調査・研究の責任者としてアメリカの政策決定の中枢に関わってきた。
 今回の勉強会では、その豊富な知識と経験から、いま、わが国の国会議員に求められている喫緊の課題について、示唆に富む講演を展開された。
 最初に触れたのは、日本の政治の貧困について。本来、世界は科学、技術、知識によって豊かになるはずであり、政治はそれを側面的に支援し、より効果を増大させる役割を期待される。しかし、現実は違う。政治の保守性は、むしろその足を引っ張る側に回ってしまっている。そもそも、国家、行政のシステムというものは、できるだけ小さくあるべきで、税も少ないほどよい。政治が深く介在しすぎると、効率的な社会運営、豊かさを導き出す上で逆効果になる。これがハドソン研究所の基本的な考え方。
次の話題は、ブッシュJr.政権の性格。ブッシュ政権は、先のクリントン政権と比して、基本政策がしっかりしている。「古きよきアメリカ」を守る、伝統的かつ保守的な志向が基礎にある。良くも悪くも、クリントン政権は折衷的、迎合的であった。それがよい方向に働いて、景気回復の波には 上手くあわせることができた。現政権は、より伝統的な 価値観に基づいて諸政策を打ち出していくことになるであろう。
 また、現ブッシュ大統領の長所として、日高氏は次の点を揚げた。ビジネススクールで鍛えられたのであろうか、一つは「時間を無駄にしない」、もう一つは「スタッフを選ぶ能力に長けている」である。
 前者の結果としては、例えば、氏の演説は短く、形容詞も少ない。その演説に、政治家としての上手さはない。後者については、自分にない力を優秀なスタッフで巧みに補うため、ブッシュ本人は別として、「ブッシュ・チーム」としての力は相当なものがある。
 彼の人間性をあらわすエピソードがある。クリスマスの日、日高氏の夫人宛てにメールが届いた。「株は下がるが心配ご無用。ご家族とお体を大切に」ということであった。
 森・ブッシュ会談について。先の会談のポイントは二つ。一つは、アメリカの業界団体・官と日本の優秀な民間企業群・民の協力による、規制緩和。いま一つは、アジアの安全保障。森首相もマスコミも全く理解していないようであるが・・・。
 アジアの安全保障。これについては、かなり刺激的な内容であった。機を見て改めてご報告させていただきたい。要は、アメリカ自身が、その世界戦略の中で日本をいかに活用していくか、ということ。ポイントは中国と台湾。
 日本の安全保障。今日、これはなかなか国民的な論議を喚起し難いところではある。しかし、21世紀、責任ある未来を拓くために、避けることはできない。
 日高氏は、日本も、そろそろ憲法9条のみならず、日本国憲法はどうあるべきか、改めて真剣な議論をする必要がある、と述べた。さもないと、現実的な動きがとれず、国際社会における信用を低下させて、日本経済の足を引っ張りかねないと、日高氏は強く憂慮された。
 日本も心してかからなければならない。


問われる日本の基本姿勢とリーダーの資質

 アメリカの対日姿勢は、今後ますます厳しくなっていく。同時に、日本に対して論理的な思考とクールな判断を求めてくるであろう。
 日本人が伝統的に有する感覚的、情緒的な部分は、美徳として継承していきたい。一方で、アメリカはじめ国際舞台で丁丁発止やっていくためには、論理的に考え、クールに判断する能力を身に付けていかないといけない。相手の行動も読めないままに、単にその場の情緒に流されて、感覚的にものを言うのでは、議論が噛み合わない。すなわち、相手にされない。
 日高氏のお話を伺い、いま問われているのは、日本の基本姿勢とその舵を執るリーダーの資質である、と考えた。


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